「地球温暖化」解決の鍵? 新たな有人月面着陸を目指す【アルテミス計画】が啓く未来

月軌道上の月周回有人拠点「ゲートウェイ」(NASA提供)

各所で”記録的高温”が相次ぐ今年の夏。

これまでにない暑さに、「地球温暖化」の影響を実感している人は多いのではないでしょうか。

そんな地球温暖化を解決するための鍵が、実は月面開発に潜んでいます。

「アルテミス計画」を知っていますか?

端的に言えば、「アポロ計画以来60年振りに人類を月面に送るための計画」となります。

が、更に「その先」までを含めた、「長期的・継続的な宇宙開発計画」なんです。

それが何故地球温暖化の解決に繋がるのか…?

 
ソラト

本記事では、そんなアルテミス計画の概要と目的、そして可能性について紹介します!

アルテミス計画の概要

アルテミス計画とは

 そもそも、計画名の「アルテミス(Artemis)」とは何か。 実は、ギリシア神話の太陽神「アポロン(Apollon)」の双子の妹である月と狩りの女神の名前です。その名が示すとおり、「アルテミス計画」とは、人類初の月面有人着陸を達成したアポロ計画(1961~72)以来となる人類の月面着陸を、米を中心とした国際協力体制(2025年5月で55カ国参加)の下で達成し、更に月面上に滞在拠点を築いて、持続的に月探査を推進することまでを含めた、長期的なプログラムなんです。

アポロ計画とアルテミス計画

 アポロ計画とアルテミス計画の違いをまとめてみました。

アポロ計画アルテミス計画
実施年代1961年-1972年2017年-2030年代
実施回数全17回(月面有人着陸6回成功)1回(無人での月周回飛行試験)~
実施目的月面有人着陸の達成月面有人着陸持続的な月探査
実施形態米一国の国家事業米主導の国際協力事業

 アポロ計画は、米の国家的威信を懸けた一大プロジェクトで、その目的も「人類初の月面有人着陸を(ライバルのソ連に先んじて)達成する」というものでした。そのためアポロ計画の月探査の実態は非常に限定的なものでしかなく、宇宙飛行士が月面に降り立ち、着陸地点周辺を数日探査して石などを標本として集めて地球に帰還する、という規模に止まりました(それだけでも十分凄いことですが)。

 これに対し「アルテミス計画」は、米中心の50カ国以上の国々が参加する国際プロジェクトで、月面有人着陸に止まらず、その先に長期的かつ大規模な月探査を推進することに計画の主眼を置いています。その意味で、アルテミス計画には、アポロ計画の更に先へ!という気概を感じずにはいられません。プルスウルトラ。

アルテミス計画の目的と目標

アルテミス計画の目的

 とりあえずざっくりとした目的としては、「月に滞在して、持続的に月を探査すること」と言えるでしょう。ただ、「持続的な月の探査」って、実際に何をするんでしょう?

アルテミス計画の目標

 具体的な目標としては、次のようになります。

  • 長期滞在可能な月面基地を建設して、継続的に様々な探査活動を実施する
  • 月面での探査活動を通し、地球上では不可能な新技術を開発する
  • 月の資源を発掘し、将来の宇宙開発に役立てる
  • 月面探査で得た技術や知見を地球環境問題や資源問題の解決のために役立てる
  • 月を拠点に、火星探査や深宇宙探査の実現のための準備を進める

 分かったような分からんような。 各目標について、もう少し掘り下げてみましょう。

月面基地の建設

 月面基地は月の南極に建設することが想定されています。

 理由としては、月の南極の地下には水(氷)が存在しているから。

 人間が生きるためには、酸素が絶対必要! 

 酸素は、最初に宇宙飛行士達の活動用に一定の量を持ち込む必要があるものの、同時に植物の種や苗を持ち込めば、ぎらぎらと降り注ぐ太陽光でぐんぐん成長して、光合成でつくってくれるので問題ない。ですが水ばかりは、現地調達が無理なら地球から必要量を詰めた輸送船を都度打ち上げて持ち込むしかなく、コスト的に大問題。

 そのため、この水(氷)が地下に存在するとされる月の南極は、長期滞在拠点の設置場所として実にうってつけ!と言えるでしょう。

新技術による地球温暖化の改善

 水以外に重要な月の埋蔵資源としては、ヘリウム3が挙げられます。

 地球上では稀少なこのヘリウム3ですが、「核融合発電」の材料となる非常に重要な物質で、月には大量に存在していると考えられています。

 「核融合発電」は次世代の電力供給法として先進各国で実用化への取り組みが進められていますが、「核融合反応」は太陽で行われている反応であり、それを地上で起こす=地上に太陽を作り出す、とも言えるため、その危険性は「核分裂反応」を用いた「原子力発電」の比ではありません。そのため、地上ではなく月面上に核融合発電の設備を建設し、大量に埋蔵されているヘリウム3を材料にして膨大な電気を発電させ、それを月面からレーザー送電で地球へ供給する、という案もあるそうです。かっこよ!

 この夢のような技術が実用化すれば、地球環境の改善にも繋がりそうです。

 とくに「温暖化」(今年の夏も暑い!)の原因となっている温室効果ガスの大半は、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素CO2です。もし宇宙(月)から人類活動に十分な量の電気を得ることができるようになれば、石炭や石油といった化石燃料を燃やさずとも発電や製鉄ができるようになって、温室効果ガス抑制による温暖化抑制が期待できます

火星探査や深宇宙探査の準備

 そして、この月面基地を火星探査のための重要な拠点として想定しているというところも見逃せません。

 月に降り立った人類が次に目指すのが、「火星」です。

 しかし、月までの距離が平均38万㎞であるのに対し、火星までの距離は平均2億3,000万㎞。ざっと月までの距離の600倍。「億」とか桁がおかしい。 そんな遠い遠い火星へ人類を送り込む火星有人探査がいつ、どのように実施されるか、幾つかプランはあるようですが、まだまだ技術的に現実的な話ではありません。そりゃあそうだ。しかし現在進行中の「アルテミス計画」では、火星進出のための前線基地、ベースキャンプが月面上につくられるということが既に予定されています。それだけでも、人類が火星に降り立つという「夢」の実現に向けて、確かな「現実」の一歩を踏み出したように思えて、胸が躍ります。よね?

アルテミス計画がもたらす希望

 ということで、本日は人類の次なる月面進出計画「アルテミス計画」の概要と目的について、紹介しました。

 月面基地の建設や核融合発電の実現、そして火星探査への準備…

 アルテミス計画がもたらす様々な可能性は、人々に未来に対する期待感・高揚感を抱かせずにはおきません。

 もしかしたら、この未来に対する期待感・高揚感=希望を人々に抱かせることこそが、アルテミス計画の最大の意義・メリットなのではないでしょうか。

 病禍、戦争、温暖化、貧富の差。

 わたしたちがこの地球上で抱える問題は、アルテミス計画の進展で一挙に解決する程単純な問題ではありません。けれど、未来に希望を見出してこそ、人は現在の困難に立ち向かうことができる。その「約束の地」という未来を照らす希望の光こそ、今を生きる我々人類にとって、何より必要なものと思えてなりません。

 かつての「アポロ計画」が、世界中の人々に夢と希望、未来への信頼を抱かせたように。

 現代の「アルテミス計画」が、世界中の人々に更なる夢や希望を抱かせるものであらんことを、願わずにはいられません。

 
ソラト

 次回は、このアルテミス計画で月に向かう具体的な方法、そして計画の達成状況と展望について、紹介します!

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